難関中学入試(理科)の実験問題にチャレンジ!【2019桜蔭 大問2-実験2】


桜蔭中学校高等学校2019年入試問題(理科)

大問2【実験2】

モーターは、電流を流すと軸が回転するが、逆に、軸を回転させることにより発電機としてはたらき、電流を取り出すことができる。

右の図のように、豆電球と電流計をモーターの端子につなぎ、モーターの軸に糸のはしをとめて巻きつける。糸のもう一方のはしにおもりをつけ、100cmの高さから地面まで落とすことでモーターの軸を回転させた。モーターの軸の直径は1cmである。おもりの重さを変え、おもりが100cm落ちるのにかかる時間と、豆電球に流れる電流を調べた結果が下の表である。

問6 表のaとbではどちらが値が大きいと考えられますか。aまたはbの記号で答えなさい。

問8 600gのおもりを用い、モーターの端子につなぐものを以下のア〜エのようにして実験をしました。おもりが100cm落ちるのにかかる時間を比べるとどのようになりますか。かかる時間の短い順にア〜エの記号を並べなさい。
ア. 豆電球を1つ、つないだ場合
イ. 発光ダイオードを1つ、光る向きにつないだ場合
ウ. 発光ダイオードを1つ、光らない向きにつないだ場合
エ. 1本の導線で2つの端子をつないだ場合

解説

問6

・流れる電流が大きいほど、モーターは速く回転する。

・モーターを速く回転させるほど、大きな電流が発生する。

実際の原理は非常に難しいですが、表面上はとても簡単な相互関係です。100cmを8秒で引っ張ったおもり900gの時の方がモーターの軸は速く回ります。

そもそも600gと900gのおもりが落ちる時間になぜこんなにおそいのでしょうか。
真空中では物体の落下スピードは重さに関係なく同一です。地球上では空気抵抗があるので、軽いものや大きいものの方が抵抗の影響を受けて、落下スピードが多少落ちてしまいます。

1mの自由落下より明らかにスピードが遅いことから、なにやらモーターの中で軸の回転に対抗する力が存在しているということがわかります。この現象は中学校で学ぶ「誘導電流」や「ローレンツ力」が関係しています。

フレミング左手の法則

問8

問6より、流れる電流が大きい方が落ちるのにかかる時間が短いから、「エ. 1本の導線で2つの端子をつないだ場合」の時が一番かかる時間が短いと考えてしまった子は残念ながら不正解だったでしょう。問6と問8の実験では、おもりやつなぎ方の条件が違うので安易に利用してはいけません。

ここでまず考えるべきは「ウ. 発光ダイオードを1つ、光らない向きにつないだ場合」です。このウの状況では通電していないので、なにも繋いでいない状況と同じです。すなわち、この時のおもりの落下は、自由落下に近いということです。

・モーター内で流れる電流が0の時、軸の回転に対抗する力も0

・モーター内で流れる電流がある時、軸の回転に対抗する力もある

ということがわかります。

・発光ダイオードを光らせる為に必要な電流は豆電球よりもとても小さい

・ショート回路ではとても大きな電流が流れる

「エ. 1本の導線で2つの端子をつないだ場合」はショート回路で、とても大きな電流が流れ、軸の回転に対抗する力も大きくなるので、落ちるのにかかる時間も長くなると考えられます。

教育ブロックIQ KEYでモーター発電機の実験

はい!ということで!この実験の真相を調べるべく実際に教育ブロックIQ KEYを使ってモーター発電機の実験をしてみます!

モーター発電機の実験動画です。どうぞ!↓↓↓

なぜ学校で習ってない単元の問題を出題するのか

「小学校でも塾でも習っていないそんなことわかるわけないでしょ!」

「そもそもそんな問題だしてもいいの?」

それが実は、出題してもいいんです!昔から難関中学の入試問題理科は、今回の問題のような小学校の履修単元とは関係のない問題をよく出します。しかし、学校で習っていなくても問題文や提示されている情報から解けるようになっているのです。

この現象の原理は、中学校で勉強する「誘導電流」や「ローレンツ力」抜きには語れないので、小学生にとってはとても難しいんです。では、なんでそんな問題を出題するのか。この問題では、原理を知らなくても、あきらめずに、問題の流れから出題意図を汲み取り、最適解を論理的に導いていく力(現場力)が求められています。逆に、学校や塾で習っていないことを出題しなければ、現場力を計ることができません。中学入試理科(特に難関校)が暗記科目ではないということがお分かりいただけるでしょうか。

2021年より、センター試験が「大学入学共通テスト」へ移行され、「知識・技能」を問う出題から『思考力・判断力・表現力』を評価する出題に変更されます。中学入試や高校入試でも、暗記力ではなく、論理的思考力が問われる傾向にあります。しかし、中高大で学ぶことの中から小学生でも論理的に考えれば解くことができる問題を作るのはとても大変なことだと思います。先生方、これからも頑張ってください!

偉そうに書いているお前は何者だ!と言われそうなので、自己紹介させていただきます。三木 英司と申します。サイエンスシーズで教育ブロックIQ KEYの教育的価値の拡散、理科実験コンテンツやカリキュラムの企画・開発を行っています。以前、大学でDNAの研究、大手塾で15年最難関中学受験(算・理)の指導や理科実験教室のコンテンツ開発をしておりました。現在も家庭教師として算数オリンピック・中学受験の個人授業も行っております。偉そうにしてすいませんでした。

 

ということで、教育ブロックIQ KEYでモーター発電機の理科実験でした。他にも中学入試問題でチャレンジしてみたい実験がたくさんあります。次回をお楽しみに!

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